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   多数のマスコミで報道されているように、8月20日、シリアの内戦を取材してい
た山本美香さん(45歳)が、北部にあるアレッポにて政府軍の攻撃を受けて死去
されましたね・・・。
 ジャパンプレスに所属してイラク戦争など、世界の紛争を伝える仕事をしていた
フリージャーナリストです。
 今回初めてお名前を記憶しましたが、相当な覚悟をもって現地に挑んでいたの
でしょうが、こんな凄い日本人女性がいたことに驚がくしました。

 同行していた佐藤和孝さんは15年前から事実婚にあるパートナーということです
から、夫婦であんな危ない所にいたのですか・・・。
まだやりたいことが山積みだったでしょうが「シリアでこんな惨いことが起きている」
と世界に向け身を挺して最大級の報道につなげた意味では、本望だったかもしれ
ないと思え、その勇敢な生きざまと鮮烈な殉職に畏敬の念を抱いています。

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山本さんのように危険を承知で命をかけた短い人生がある一方で、 
 日本人の寿命が延びに延びて、特に女性は大病をしなければ90歳前後まで
生きることになるのですが、長短ではなくその生き様が問われますよね~

 先日、新潟市に住む学校の後輩(女性)からメールをいただき、分かってい
たつもりでしたが、高齢者の療養病棟の話に衝撃を受けました。

(7月にお母さまが20日程入院をした際に)

 「病院で初めて高齢者の療養病棟を目にしました。たくさんの寝たきりの老人
が食事も摂れなくなり、点滴につながれています。
廊下を歩く患者さんは一人もいません。
私はその光景を見て、瞬間的にキアヌ・リーブス主演の『マトリックス』(1999年の
アメリカ映画)に出てくる『プラグにつながれた人間たち』を思い出しました。
 あのお年寄りたちは、あのような状態で生き続けることを本当に望んでいるの
だろうかと今でも思います」

心理学を専攻した彼女らしいアプローチです。
後半でこんな結びがありました。
「人間は一度は死ぬわけですし、一番良い死に時というのがあると思うのです」

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 この話に、もう一つの体験を思い出しました。
このblogで6月に書いた「旧制松本高校と松崎 一先生」の松崎先生が、夫人に
先立たれ、松本郊外の高齢者ケア付きホームに入所されていた時のことです。

 私がお訪ねしたその施設は周辺が緑に囲まれ、小綺麗に整えられていました。
先生は80代の後半で、足腰は弱くなられましたが、ダンディぶりは変わらずで、
私やヘルパーさんに冗談を言って周囲の空気を和ませてくれました。
(この辺はさすがに、防空壕でもジョークを飛ばしていたという・・ 作家・北杜生の
 恩師ならではですよ~・・・笑い)

 でも余裕があってお茶目な人は滅多にいないのが現状で、3時のお茶タイム
には、広い交流ホールにヘルパーさんが各部屋から高齢者を一人一人車いすで
連れてくるのですが、ホールはシーンとしています。入所者同士の会話がないまま
居眠りをしている人もいて、テレビの音ばかりが響いている・・・。
 生まれも育ちも暮らした場所も、職業や家庭環境もバラバラに生きてきた高齢者
同士が、いきなりコミュニケーションを取ろうにも身体も頭も心も不自由になり、
どうにもやりようのないのが現実ではないでしょうか?

 『プラグにつながれた人間たち』ではないけれど、あまりに寂しい光景でした。
最近、人と人とがアナログで語り合わなくなっている傾向を感じませんか?

 PCは便利だし、携帯メールもお手軽ですが、たまには線付き電話の長話も
いいですし、手書きのレターがポストに入っていると嬉しいですよね~
いただくことを期待するだけでなく、まずは自分で発信し、自分で集まりを考えて
周囲に声を掛けていきたいなぁと、相変わらず宴会人間を続ける運命・・・(笑い)
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 プラグ人間に近付かないためには、元気でいる限り、自分なりの志を持ち続け
できる範囲で行動することでしょうね。
今ちょっとした寺子屋を準備中で志の高い若者を1本釣りしたいと考えているの
ですが、「志をもつ」とは・・・①から③を認識して、一歩づつ踏み込んでいくこと
だと思います。

①どんな社会を望んでいるのか
②(そのために)どんな貢献をしたいのか
③なぜ自分がやらなければならない.のか

 山本美香さんは①②③を満タンにして命がけの行動をし、鮮烈な殉職を遂げた
・・・・そんな思いがしています。