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10月12日
朝7時の
NHKにて





 12日朝のNHKニュースで「目指すは地方公務員」とのレポートを見て、
「やっぱそうか・・・」と思いました。
 先週6日の土曜日に早稲田大学の大学院で、現役院生を対象に大学と
同窓会の共催で就職支援の会を開いたのですが、なぜか、地方公務員
の選択が多い。都庁出身の私は「青年よ、もっと大志を抱け!」との思い
で学生には「役所に幻想を持たないように」伝えたばかりでした(苦笑)。

 今の若者の多くには「寄らば大樹の陰」といった意識が高く、
昔なら「末は博士か大臣か」なのに、政治不信、日本の大企業は国際競争
に弱い、国の官僚は定数削減だし評判は悪いし、さりとて中小企業は将来
が不安だし・・・で、残された希望が地方公務員なんでしょうか。

 私が都庁をめざしたのは、美濃部革新知事の登場で「東京から日本を
変えよう」に引き寄せられ、大石内蔵助に馳せ参じる赤穂浪士のノリだった
から、安定志向とは真逆なんだけどね。(で、鈴木都政になって数年後に
私も都庁を去ったのですが、こういう殉職精神は今やおとぎ話かな・・・)

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 千葉大学の明石教授が解説をしたように、今の学生には安定志向が強く、
大震災の影響なのか、身近な人の役に立ちたいとの思いがあるのでしょう。
勿論、地方を支えていくことは大事だけど、国が沈没しかかっている時代に、
皆が自分の郷里や市役所を守るだけでいいのだろうか・・・。
 親亀が経済破たんをしたら、自治体も子亀として連鎖的にこけるのだから、
「国を背負う気概とリーダーシップをもった人材を育てなければならない」は
その通りですよね~

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 昨今はかってエリート学生が憧れた国家公務員には人が集まらず、
全国でセミナーを開催しているとか・・・。ある種の傾向を同じくする
「みんな一緒」が好みなのか流行なのか、でもやや極端ですよね・・・。

 先日の就職支援で、私自身は役所と民間を両方経験したからこそ、
役所とはどういう職場かについて、志願者に覚悟を求めるため正直に
経験した実態を伝えました。
 30代終わりまでの職場、東京都庁は人口や予算の規模からしても、
世界の国家レベルでベスト10 に入るような大官庁なので、国の省庁より
パワフルだから、地方自治体の一般論は通じないかもしれません。
(国の官僚同様に、プロが多いですしね)

 でも、数年前に東京23区の一つ、人口30万人、職員2500人、年間
予算1000億円の〇〇区の政策評価を4年受け持って、隅から隅まで
眺めまわし、全部署の幹部や担当職員とのヒアリングもしました。
 だから平均的な規模の自治体について、その実態を語れるのです。

 その自治体を例に、敢えて、学生に説明をしたのは、
①自分たちの給料をコストに考えていない点では、コスト意識は薄くて
 幹部も理屈でわかっていても「経営」が身体に浸み込んでいない。
②民間の「利益」を蔑視している風潮があるが、利益を出すからこそ、
 設備投資をし、雇用を増やし、税金を納めるという単純明快な原理が
 通らない。自分たちの給料は天地から湧いてくるような感覚らしい。
③3年位で上も下もくるくる人事異動をする。今日までは住宅・公園、
 明日からは生活保護、その先は保健衛生、更には教育委員会と、
 プロフェッショナルが育たないシステムにある。(民間なら一つのことを
 専門特化して追及しないと倒産するが、役所は下手をすると永遠の
 インターンシップを繰り返している意味では素人集団に近い・・・)

 勿論、役所には利点もたくさんある。権限あれど責任なしのせいか、
自由な雰囲気があり、社会の基本的な構造や組織論を学べますよと。
あと、基礎能力は高く、人柄のよい職員が多いなど・・・。
(これは志願者に向けて個別に語りましたが)

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 優秀な若い彼らが地方公務員をめざすのが現実としたら、この機会に
不透明で不確実な時代にあればこそ、ことあらば彼らが民間にも転する
ことのできる能力向上をシステム化してほしいなと思いますね。
 役所で町興しに携わりたいとの希望者が多いようだけど、経済や経営
の能力、つまりは商売っ気なくして町興しは無理でしょう。

 アメリカのように、公共機関の職員、シンクタンク、NPO/NGO,
大学、研究機関、ロビイストなど「政策陣営の回転ドア」があり、それぞれ
出入りして、能力を磨きながら螺旋階段を上っていける仕組みがほしい。
(役人もさまざまな分野で仕事をし修行した方が優れた行政が展開でき
 ますしね・・・)

 人間、ずっと一か所にいて、身分は安泰だとしたら、人によりますが、
向上心や競争心が無くなり、ひたすらゴール(定年)を待つだけの人間に
なりがちでしょう。これは人材としても惜しいですものね。