熟女はご意見番

2012年01月

名簿が消えるタコツボ社会2

(「名簿が消えるタコツボ社会」の続き)
木綿子A










©newrock yuko





<タコツボ増えて国滅ぶ>

古い新聞記事ですが、2005225日付の朝日新聞「私の視点」
に東海大
学医学部講師(当時)の高原太郎さんが、わが子が通う
学校に住所などの基礎情報が開示されていないことに関する意見
を寄稿して話題を呼びました。

我々には所属している集団について知る、相互関心の権利もある。
それが従来機能してきた安全な日本の基本的なよりどころではない
」と。

高原さんは自分の子どもがクラスメートに年賀状を出したいと
希望したが
住所を知りえないことに気が付き、日常の連絡すらとれ
ない現状を将来の社会構造への視点から不安を抱いて問題提起を
したものです。

 つまり「個人の情報を開示しないことで部分的な安心がある反面、
地域社会
のコミュニケーションを崩壊に導き、相互無関心が強まる
ことはもっと危険を編み出す」
という考え方ではないかと思います。


  私も高原さんと全く同じ見解ですが、更にもう一つの危惧を抱いて
います。
従来地域社会で補い合ってきた部分が、最終的に逐一個々
人に向けた行政の役目となると、役所は過度の財政負担を強いられて
財政破たんが加速する
」―大きなリスクを我々が背負い、ズバリ
タコツボ増えて国滅ぶ」ですね・・・。

経済発展して便利さ快適さと引き換えに人と人の距離が離れて公共
心が薄れ、貧富の格差も生じて、生活保護は現在
1951年の戦後混乱期
を上回る
205万人に至っています。そして経済支援の他、高齢者・障が
い者対応、防犯、子どもの社会教育、家庭内暴力の救助など
(昔は近隣
住民で補ったことも
)役所への期待値となり、事業内容が膨大多岐に
亘ってきました。

現状の「高福祉低負担」がこのまま続くわけがなく、我々は「高福祉
高負担」か「低福祉低負担」かの選択をしなくてはならないでしょうね。
 同時に「個人情報」に過敏にならず、近隣で声を掛け合う、手を差し
伸べる、
お節介もやき合って「明日はきっと明るい日」と夕日を見れる
と良いですね。




名簿が消えるタコツボ社会

<再び「ALWAYS 三丁目の夕日」‘64


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 映画の宣伝部みたいですが(苦笑)
2005年、2007年のヒット作
が5年ぶりに再び戻ってきましたねー。

 あの時代には子供が広場で遊ぶ声を背に「明日も良い日に」と
皆なで夕日を揃って眺め、長屋に住んで銭湯に通い、食事を分け
合い貧しさを助け合い、テレビも電話も近所同志の行き来で始ま
った。


そして国の経済が成長して、部屋も家具もテレビも電話も個々とい
うパーソナルなライフスタイルが確立されてからは、家庭も地域も
学校もヨコの連携が希薄になってきて、ともすれば各人がタコツボ
に入ったまま助け合いや自己表現を避けて言葉すら発しない傾向に
なってきたように感じませんか?


でも「これって何かおかしくないの?」と思う人々が相当数いる
から映画「三丁目の夕日」に郷愁を覚え感動を呼ぶのでしょうね。

<人を繋ぐ原点が消え孤独な単品に>

昨今のタコツボ社会、町会や小中学校のクラス、PTA、同窓会か
らも名簿が消える風潮で、それが当然のようなムードの支配に怖さ
を感じています・・・。

丁度17年前の1995117日の阪神大震災。地震が起きて8日目
に私は東京を出て、大阪から船に乗り神戸に行きました。

 一様に住宅が押し潰された長田区で、タクシーの運転手から聞い
た話が痛いほど耳に残っています。「この辺りは発生時、テレビでは

放映できない悲惨な場面が広がり、あちこちの瓦礫の下からうめき声
が聞こ
えていました。そんな命を救えたのは長いご近所付き合いがあり、
人と人とが繋がっていたからです。
『この家の2階の南側におばあちゃんの
部屋があったから、早くこの
瓦礫の下を探してください!」と。 イラスト:NEWROCK YUKO
 

木綿子A


                  


















 
現在は名簿という人を繋ぐ命綱すら葬って地域や集団で生きる原点
を失い、益々人間が孤独な単品に分断されてきたように思います。
 そう、氏名も連絡先も顔すらも隠したがる人が多くなり、メンタリ
ティはコソ泥の抜き足差し足?(苦笑)。
そして孤独に追い込まれる人が増えると犯罪や心の病も多くなる・・。

 学校でもクラス名簿や連絡網が不備なので、わが子の同級生にどの
地域から何人いるかも分からず、帰宅が遅くても連絡し合えない不安

を聞きます。


手元に何ら資料が残らないことは、将来同窓会も開けないことに
なりますが、既存の同窓会も名簿に慎重すぎてネットワーク形成のプ
ラスを考えず、むしろ悪しき風潮を加速させているかもしれません。


理由としてよく2つを耳にします。

   「個人情報保護法」があるから。

   名簿が業者に渡ると、DMや電話勧誘や詐欺に使われるから。

⇒①の多くは法の誤解があり、至る所で過剰反応だらけですね。

   について確かにリスクはあり、だから保護法が制定されたの
でしょうが、個々人は最低限の情報開示を拒む結果生じる
マイナスを斟酌してほしい。
外部の圧力には個々人が「
NO!」と拒絶する自己防衛の姿勢
を養わない限り社会はどんどん萎縮し、人は孤立して追い込ま
れていくのだから。

<個人情報保護法って何?> ※「個人情報の保護に関する法律」

 「個人情報保護法」は2003年(平成15年)5月に成立し、2005
4月から施行されています。
 法の対象は「
5000人以上の個人情報を有する民間の事業者」で、
平たく言えば「名簿事業者への安全管理」を刑事罰と共に義務付けた
もの。だから「法は名簿の作成を禁じたものではない」し、
5000
未満の小規模な町会や学校のクラスや同窓会は法の対象外であり、
個人情報を保護する理念で、本人の同意、安全管理、開示、訂正、
削除など常識の範囲で丁寧な扱いをすれば十分こと足りる筈でしょう。

 例えば、町会や学校、同窓会などで名簿作成においては、

   名簿の利用目的や活用について会員に知らせる(同意や認識を
得る)。

   適正な管理の方法を文書(規約など)にして整理する。

   同意なき場合は非掲載の自由を認める。 
が基本になろうかと思います。


                  <「名簿が消えるタコツボ社会2」に続く>


「三丁目の夕日’64」に願う夢

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 2005年11月に公開されて
日本アカデミー賞などを獲得し、
 2007年に続編が制作されて
から5年。3作目の「ALWAYS
三丁目の夕日’64」を観ました。
 
 「ALWAYS」は英語のまま
「いつでも」の表現でしょうし、
「夕日」の意味は原作を出して
いる小学館の「ビッグコミック
オリジナル」のHPを見ると、
原作者西岸良平さんの言葉で
「明日はきっと明るい日」
書かれています。
 夕日が輝くのは明日はきっと
天気が良いよーの現れでしょう
から、このどん詰まった時代、
日本人に「いつでも夢を」の歌
同様、明日こその希望を持たせ、
感動を広げているのでしょう。






 <みんな串団子みたいに暮らしていた・・・>
 1964年(昭和39年)は東京オリンピックが開催された記念すべき
年で、団塊の世代が高校生になった時代ですね。
映画で準主役の古行淳之介も鈴木一平も高校生になりました。
経済成長に伴い、オリンピックに合わせて家庭にテレビや電話が
入り始め、街並みがかなり小奇麗になってきたとはいえ人情は変わ
らずで、町内の人々はいわば団子状態で暮らしていたのですねー。
 
 各家庭や隣人の動きを人はアナログでキャッチする余裕があり、
ああでもない、こうでもないとお節介が入るのだけど、誰でも団子の
串仲間に連なっているから落ちこぼれや仲間外れが出ないし、
あの当時はうつ病も登校拒否も滅多にいなかった・・・。

<家庭には愛情深く強いリーダーが>
 小説家の茶川竜之介にしても、鈴木オートの社長にしても強烈な
個性の持ち主で、言いたい放題で時折手が出るほどの衝突をする
のだけど、強いリーダーとして家庭や職場を治め、子どもを甘やか
すことなく、でも陰では愛情をこめて見守っていた様子が覗えます。
 学校もそうでした。男子生徒は毎日のように教師からピンタをされ
ながら注意を受けていたけれど、親も教師に対する信頼感が
厚く、皆んなにとって学校は最高の遊び場でしたよねー。

<そして家族も隣人も想像力が豊か・・>
 今の時代は人があまりに繊細で、言葉一つで傷つくとなれば、
親も教師も上司も言っていいのか悪いのか、何をどう表現すれば
いいのか・・なんて迷っているうちに、何も言わないことがわが身の
安全となるのでしょう。昨今は人がお口にチャックでますます無言。
 
 あの時代の人々はお父さんや隣のおじさんや、学校の先生が
怒鳴ろうと殴ろうと、本心は優しさ、ボクを心配しているからと言葉
だけでなく、人格や流れを全体で判断できる想像力に満ちていた
ように思えます。今は言葉だけで人を測ることが多いのですが、
では言葉が柔らかで、さして語らず笑っている人が、社会を考え、
人を救うのかといえば、逆のようにも感じるのですが・・・(苦笑)。

 「三丁目の夕日’64」を観て、経済力、便利さや快適さと引き換え
に私たちはいかに多くのものを失ったのかを改めて思いました。
いわばモノと人情が交換されたに等しいかもしれませんね・・・。
 それでも又皆なで夕日を見たいですよねー。せめて隣近所で
声を掛け合い、気持ちだけでも交流しあえれば、いつかは夕日が
輝くように思えるから、「いつでも夢を」の世界にいましょうよ。
 

<撮影費用は多額でしょうね>
 前2作品もそうですが、CGで再現された街並み(現在の港区愛宕
界隈)や東京タワー、住宅、商店、商品、家電、三輪自動車、その他
の小道具の臨場感は素晴らしく、これはコストが膨大だなーと。
 映画は2Dと3Dの2種類が公開されており、両方観ましたが、
2Dの方が観やすいですね。3Dで観ると、東京タワーのてっぺんなど
が客席にせり出してきて迫力があるけれど、カラーグラスを使うので、
画面全体の色合いが暗くなり、やや疲れました・・・。

 それはともあれ、あの時代の価値は何だったのか、今は何を失った
のかを考えるためにも、どうかご覧になってみてくださいね。



「丸の内タニタ食堂」体験記

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(東京都千代田区丸の内
 3-1-1 帝国劇場の地下)

  
 3月11日(水)にオープンした丸の内タニタ食堂・・・。元々は
ご存じ測定器メーカーで、「世界から肥満をなくそう」のコンセプト
でレシピ本を436万部販売して自社の社員食堂が有名に。

 1週間後の今日も朝8時半から整理バッジを求めて行列が。
(営業は平日の11~15時までの間、30分刻みで予約します)

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(上は朝11時の開店直後。社食と同じスタイルで、日替わりか週替わりか
 の2種類メニューから選んで食券を購入し、あとはセルフサービスです)

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 私が選んだメニューは(週替わり)「黒豚と彩り野菜のみそ炒め。温泉卵つき」
(右上の主菜)で、定食としては約500kcal、900円でした。
 材料は黒豚のひき肉、赤緑黄色のピーマン、レタス、人参に温泉卵で、副菜に
は青菜とシラタキのからし味、ひじき、トウモロコシ、鶏肉の煮つけが付き、ご飯の
他しめじとねぎのお吸い物、日本茶もいただきました。
 テーブルに醤油、塩、胡椒がないことも特徴で、かなりの薄味です。素朴な家庭
料理風で「美味しい!」という程ではありませんが、飽きのこない料理ですね。
色合い等も演出し「30分位をかけてしっかり噛んで満腹感を」 でしょうか。

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 こちらは、同席した上品なミドルのおじさまが選んだメニューです。
日替わりで「鶏肉のピーナツバター焼き定食」で、525kcal、800円です。
(副菜、汁ものは共通でした)

<福岡の博多からきたおじさまの目的とは>

 同席したおじさまは今朝早くに博多から上京してこの食堂に直行した
そうですが、病院食の提供を本業ビジネスとし、博多駅前の自社ビルを
改修中に合わせて、1階にタニタ食堂の誘致を検討中なんだそうです。
 タニタ食堂は本社直営ではなく、運営を委託しているらしいのですが、
今後6ケ月をかけて丸の内の食堂をテスト試行し、関東に限るか全国を
対象にするかを含めて展開の方針を決めるとか・・・。

 この経営者は「MMC」をこの目で確かめにきたと話されました。
マーケティング、マネジメント、クオリティです。タニタはいずれも優れて
いると、今回更に関心を深めた様子でした。
 
 私自身も今後のタニタの展開には関心がありますねー。
便利な街中に在住しているし、料理は苦労を感ぜず日々こなすのですが、
それでも「タニタ食堂」が近隣に来てくれると労せずしてスリムになれそう
で(笑い)、あり難いなー。

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 このランチョンマットはタニタのものではなく、私が定期的に指導を
受けているクリニックの栄養士さんが作成したものですが、今日の
タニタの食事と考え方が合致しているので頭が整理できました。
皆さまも何かのご参考にして下さると、嬉しいですよー。 

 




身近な「世代交代」ワタシ流

 木綿子B






















                                              (イラスト:NEWROCK  YUKO)
<今の日本、爺じとおじさんはナベ蓋が好き>

 「世代交代」の一般的な意味は「年長者が退き、若い人が活躍の
中心になること」とされています・・・。

 昨年の2011年11月11日に、プロ野球の読売巨人軍の運営会社ー
(株)読売巨人軍の球団代表、清武英利氏が次期のヘッドコーチ人事
の件で渡邉恒雄会長(読売新聞グループ本社代表取締役会長、主筆)
を告発した問題はメディアを騒がせ、多くの記憶に新しいと思いますが、
内容の背景や信憑性はともあれ、誰もがナベツネさんに対して内心感
じたものがあったのではと思います・・・。
 マスメディアの権力を背にいつまでも組織や人を牛耳る85歳。 
年齢による差別をする意識はないけれど、正直格好悪いですよねー。
 まあ、ナベツネさんは「相当分厚いナベ蓋」には違いないでしょう・・・。


 <同窓会の世代交代ワタシ流>

 今春4月から母校である大学院の同窓会で、幹事長を引き受けること
になりました。トップは会長で、幹事長は同窓生と大学との調整役をしな
がら数十名の幹事を束ねて実務を進行する、いわば事務局長ですね。

 私学にとって同窓会は有力な応援団であり、双方の協力事項が多い
ため(研究員で日常出入りする私に)大学から会長を受けてほしいとの
あり難い希望もいただきましたが、それはNOとお断りした上で、ワタシ流
の世代交代をイメージしました。

 ごく普通の同窓会はともすればご長老がナベ蓋になっており、世代交代
は中々進まないのですが(若い世代は忙しいし下請けを嫌って受け手が
いない)、私の方では、会長はOBOGの希望の星であってほしいと現役
バリバリの42歳(関西のマスコミで報道デスク)を口説き落としました。
まあ、かなり年上の女房役として、縁の下の力持ちとなり雑用や事務手続
きは何でもこなしますとの条件を申し出て・・・ですけど(苦笑)。
 更に、副幹事長には敢えてIT関係の起業家である30代にお願いしまし
た。PCを駆使する名簿の管理やネットワーク形成の能力が高いからです。

 イラストでいえば、左のタテ型を避けて(ナベ蓋になるの、嫌じゃネー)、
右のヨコ型への世代交代をしようということになりますか・・・。
 私たち熟年は積み上げてきた経験やノウハウをもって、若い世代の背中
を押しながらバトンを渡し、受けて立つ次世代は過去にとらわれない発想
で変動する現実を読込んで、明日の課題を自分のものとして問題の解決を
図ることがお得意だし、先の短い世代より真剣な筈ですもの。

<次世代のスピード感や改革芸に託そう!>

 これまで経験した町会でも、仕事として受けた行政機関の政策評価でも、
殆どがナベ蓋組織となって新しい発想を抑え込んでいるなーと実感。
特に男は「俺が生きている限り」とバトンを握りしめ目を光らせるのはなぜ?
所詮人は死んでいく身。明日を担う若い世代に「仮免許」でも良いから発想
と運営方法の転換を期待して、経験やノウハウを早めに伝達してほしい。

 上記同窓会長となる某マスコミの報道デスクから最近いただいたメール
によりますと、橋下大阪市長について、「今まで2年かかってきたことを2日
でやる」と豪語し、実際に猛スピードで物事を進めているとのこと。
 そして、数十年間動かなかった地方分権が現実的に動き始めたことを目
の当たりにしているそうですが、長老といわれる爺じやオジサンたちには
スピード感からしても中々できない改革芸ではないでしょうか。


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