12年4月23日
朝日新聞朝刊
上の4月23日付朝日新聞に「有権者って誰だ」という記事が
ありました。
ハンガリーでは16歳から選挙権、スイスでは中学生が「人間
には生まれながらにして選挙権がある」と訴えているとか。
高齢化が進む日本では「年齢別の選挙区」を提唱する研究者
がいるといった話も書かれています。
おりしも最近の日本ですが、07年に成立した国民投票法で
法施行の10年までに成人年齢と選挙権年齢を18歳に引き下
げる附則が、期限先送りとなったそうですね・・・。
選挙権を18歳からにして有権者を増やそうというプランは
いかにも大政党が考えそうな話ですが、ご存じのように最近の
投票率をみると、20代は20%代、30代は30%代と低率で、
年代が進むほど上昇しているのが現実ですよね。
要は若者は選挙というよりも政治や社会の動向に関心がない、
あるいは「どうせ投票してもね~・・・」と諦めもあるのでしょう。
(我々人生を長く生きた大人はもっと諦めているよね・・苦笑)
今、所属している研究所において私の研究テーマは「アメリカ
市民の政治参加手法」。米国の大学院の教授や博士課程に
留学している日本人学生の協力でレポートを取り寄せています。
アメリカの政治参加率は減少傾向にあると回答してきています
が、それでも18歳~24歳の参加が 49%ですからねー・・・・。
(日本でいえば50代のランクですよ・・・)
イラスト:NEWROCK YUKO
アメリカをまとめた後はヨーロッパに調査をかける予定ですが、
何といっても民主主義(デモクラシーとはギリシャ語を語源とし
demos(人民)と kratos(支配)とで人民支配・・・、すなわち
「人民統治」の意味) のDNAが違うことを感じますよね~
自分たちの国のことは市民が最終決定をするという、個人の覚悟
と責任感が日本人にあるかと問えば、いかがなものでしょうか。
陰で政治家の非難を百万回しても政治は変わらないでしょうし、
そもそも、政治家の在り様も、防衛や外交のお粗末さも日本人の
意識レベルそのものだと感じているのですが・・・。
戦後日本で失われてきたものは「公共心と恥」と言われますが、
アメリカを調べていて思うことは、子どもの頃から学校を中心に
「自治とは何か」、「どのような手法で市民参加ができるのか」など
がブレーンストームや、フィールドワークにより教育されています。
日本では(戦前は勿論)そういう教育が行われた形跡はないけれ
ど、三丁目の夕日の時代迄はコミュニティで、親や教師や近隣住民
が毎日の暮らしを通じて子どもに実践で学ばせてきたのですよね。
ノースカロライナ州の事例として、
2012年度には、幼稚園から小学校5年までに「リーダーシップと
国際教育」を学ばせ、グローバルコミュニティへの社会貢献を育成
しているとのレポートもあります。
(まだ非公開なので詳細は語れませんが手続きを経て公開予定)
以下はアメリカの高校1年生のケーススタディです。↓↓
「ブッシュ政権の経済諮問会議の1メンバーとして、本土防衛、財政
赤字、税制改革、教育改革などからトピックをひとつ選び、大統領に
アドバイスせよ。その際には大統領の一般教書演説、記者会見など
を参考にして、ビジネスリーダー、ロビイスト、歴史家、経済と政治の
専門家と長時間話し合ったと仮定して小論文を書け」
このテーマを扱う高校はエリート校に限らずごく普通の学校とのこと。
このケースを読んだ時、「こういう過程を当然に経てくる国の市民には
そりやー、叶わないよねー」と感じました・・・。
日本の親も教師も役所の関係者も「良い大学を出れば何とかなる」
なんて、まだ考えている様相ですが、認識が大アマではないかな。
知識も教養も必要ですし、日本はそれも低下の傾向ですよね・・。
でも、グローバルな社会で生きていくには、子どもの成績や教育以前
に大人の頭を切り替えないと・・。
18歳から選挙権を与えれば自覚が生まれるものでなし、前提として
子どもの頃からの市民教育が必要だし、更にそれ以前に私たち大人が
市民としての「覚悟と責任」をどう担うかではないでしょうか。
まあ、速足で実現しようとしても30年はかかる話になりそうですね・・・。