熟女はご意見番

2013年10月

パラリンピア佐藤真海さん

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10月29日、日本記者
クラブで佐藤真海さん










 最近、生の記者会見が面白くなり、時間が合えば「時の人」の話を
聴きに行くことを楽しみにしています。

 今日9月7日は、ブエノスアイレスでのオリンピック招致で、世界に響く
感動のプレゼンをした佐藤真海さん(サントリーホールディングス)でした。

 ご存じのように早稲田大学商学部に在学中、チアガールとして2年間
活躍していた頃、骨肉種を発症して義足に。
オペや療養で1年間休学していた時は、どん底に落ちて・・・・情報なし、
道はなし、未来もなしで絶望していたそうです。

 そこからが強い人ですね~
リハビリとともに、陸上競技を始め、更に苦難を乗り越えてきた経験を
仕事に生かそうと、サントリーに真正面からエントリーして就職。

サントリーも器の大きい会社なんですね。
普段は9時から午後4時までCSR推進部(社会貢献部門)で仕事をして、
そのあとが練習時間ですが、全練習費用はサポートされているそうです。

2004年にアテネパラリン、2008年に北京、2012年にロンドンと、出場を
続けてきました。

 彼女が1時間くらい話をした中で『失ったものでなく、今あるものが大事』
は言葉として光っていましたね・・・。

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2020年の東京オリンピックでは、選手だけ、競技だけでなく、観客が楽しめて、
すべての人に優しい視点が、駅、街、会場、パンフ、TVなどに浸透し、皆で
夢をめざしたいと目を輝かせて語りました。

 詳細は省きますが、パワフルでハートフルな早稲女に久しぶりに会いまし
たし、実に聡明で美しい女性でしたね~









村木厚子さん出版記者会見

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村木厚子さん
(10月23日)






 2009年、あの「郵便不正事件」で逮捕・拘留された厚生労働事務次官の
村木厚子さん(58歳)が、冤罪のない社会と、司法改革を訴えるために
私は負けない』という単行本を書き、10月25日の刊行に先駆けて23日に
記者会見を開きました。

 会見場に現れた村木さんは、細身で地味な印象の女性でしたが、話を聴
いていると、風にそよぐ葦みたいな弾力性と芯の強さを感じる人でしたね~

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 事件後、厚労省の事務次官となった高級官僚が『私は負けない』と・・・
つぶやき型のタイトルで、ある種の告発本を出版することに、当初は多少の
違和感をもったのですが・・、書かざるを得ない現実が横たわり、ご本人の
言葉を引用すると、「得難い経験だが、二度と味わいたくない経験を知らせ
たい」との思いが、沸々と湧き上がっているのだろうと感じましたね~

 元々は2004年に「凛の会」という偽の障害者団体が、定期刊行物の郵便
料金が格安になる低料第三種郵便の制度を悪用し、(利ざやを稼いだとして)
元会長などが逮捕された事件が発端ですが、その団体に厚生労働省が
組織的な関与をして正当な手続きを踏まない証明書を出したとの噂が流れ
て・・・やがて村木さんは「虚偽公文書作成・同行使」の容疑で逮捕され、
大阪地検に起訴されています。

2009年6月に逮捕され、164日の拘留を経て、11月に保釈。
2010年9月に無罪が確定し、同月に職場復帰して2013年7月から事務次官。

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 ≪村木さんは記者会見の中でこんなことを強調して話されました

検察にはストーリーができていて、ない話にも証拠がつくられる。
 2名の担当検事は逮捕直後の最初から
 『私の仕事はあなたの供述を変えることです。あなたは起訴されるでしょうね』
 『あなたの記憶は曖昧だから、私に任せなさい』

②その結果、調書はいかようにも作れることに。
 実際に証明書を単独で作成した上村勉事務官とは話したこともなかったが、
 調書の中では彼との会話が生き生きとして書かれていた。

③検察は、組織で動き、自分たちに有利な方向へとことを進めていった。
 途中で(証拠の改ざんが明らかになるなど)引き返すチャンスが何度も
 あったのに、求刑まで突き進んでいった。

④マスコミを含めて、検察や警察に対する暗黙の信頼感が横たわっており、
 「もしかしたら無罪」が社会全般に弱くなっているのではないか。
 被告人にも闘える仕組みが必要だ。

⑤マスコミについて、多数に追い回されて恐怖やパニックに陥った。
 推定無罪の筈なのに、偏りがある。公平な報道を心がけてほしい。
 「報道の自由」は尊重したいが、行き過ぎると規制がかかることを避ける
 ために、自らルールを作って改善してくれることを期待する。

検察とマスコミは「悪い奴をやっつける」⇒「正義の味方」を旗印にすること
 が似ているのだが、検察は裁判に勝ちたいと願い、マスコミは早くネタを取
 りたい点でドライブがかかっていることから問題が生じる。

⑦現在『法制審議会』の委員として、自分の経験をもとに関わっているが、
 司法改革に必要な3つの課題は
 「取り調べの可視化」、「証拠開示」、「身柄拘束」(それ自体が罰)の検討。

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⇒最後に記者の質問に答えて、

検察と厚労省など官庁には公務員としての共通項がある。 
何かが起きた時に本能的に隠したくなるし、今までの習慣を変えられない。
情報公開をし、透明性を確保するために、悪いことを隠せない仕組みを
作れば、正しい行動をとれて、その方がみなラクになれると思う。







原発問題をイラスト動画で!

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若者たちが
座り込んで
寺子屋教室
左端は講師
石橋哲さん







 福島の原発事故から早くも2年半以上が過ぎましたが、私たちは現実を
知りたいと気にしながらも、何とかなると思いたいのが人情でしょうか・・・。

 ある機会に紹介された 石橋 哲さんに講師をお願いして、若者たちと
原発事故の対応や今何が起きているのかなどを学ぶ勉強会を開きました。

石橋 哲(さとし)さん
いわゆる「国会事故調」と呼ばれる「東京電力福島原子力発電所 事故
調査委員会
」において、調査統括補佐として参加し、7ケ月で事故の原因、
被害の状況、国会への提言をまとめた中心人物で・・・、 延べ1167人、
900時間を超えるヒアリング、被災住民1万人以上と東電などの従業員
アンケート2400人という気が遠くなりそうな仕事をされた人です。
(1964年和歌山生まれ、東大法学部卒。日本長期信用銀行、産業再生
 機構を経て独立。現在クロト・パートナーズ代表)

 事故報告書は約600ページに及ぶもので、国民の代表機関である国会
から権限を与えられた独立の調査機関としては、日本で初めてのものだ
そうです。
 また政府事故調や、東電事故調のような当事者によるものと根本が違い、
中立の立場でまとめられたのですが、いまだ国会は報告書の提言に対
する検討を進めていないし、誰一人責任を負わないという・・不思議!

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  そこで、石橋さんは「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」を起ち上げ
テレビのアニメで説明するような工夫で、福島の事故が世界的に見てもただ
事でないことを大衆に訴え続けているのです・・・。

 http://naiic.net  にアクセスしてみてください!

 ①国会事故調ってなに?
 ②事故は防げなかったの?
 ③原発の中でなにが起こっていたの?
 ④事故の後の対応をどうしたらよかったの?
 ⑤被害を小さくとどめられなかったの?
 ⑥原発をめぐる社会の仕組みの課題ってなに?

 この6つのテーマで『イラスト動画』を使って各2分くらいにまとめてあり、絶句
するくらい凄い発想とアピール力ですよ~

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 10月18日(金)の18時半から拙宅で勉強会を開いたのですが、
石橋さんは、当日の昼間、国会議員30名ほどに呼ばれて、同じ資料を使い、
PCでイラスト動画を流しながら、全く同じ説明をしたそうですが、
会場はシ~ンとして、誰一人からも質問が出なかったとか・・・。
 
 国会議員って一体何をする人なんでしょうね~ (私のつぶやきです)

 うちでの勉強会は高校生を含め大方が大学と院生でしたが、国会の先生方
と同じレベルにはなりたくないと考えたようで(苦笑)、次々質問の手が挙がり、
会食タイムになってからも議論は尽きませんでした。

 石橋さんのお話から推察するに、危機にも動じない議員を選ぶ我々国民が、
思考停止」に陥っていることになり、元々「集団思考」をする国民性の危なさが、
ここにも表れているということでしょうね・・・。

 フィンランドでは放射線廃棄物を、地下の岩盤300メートル掘った場所に集め、
それを「オンカロ」と呼んで10万年閉じ込める計画で、進行させています。

 片や日本では、福島の街自体が地上にむき出しのオンカロであり、放射能は
10年、100年どころか、向う10万年生き続ける・・・。
しかも汚染土壌を処理しても、持っていき場がないから家の周辺に積み上げて
いる家もあると。庭に埋める人も、積み上げるだけの人もいて、処理の違いが
近隣での感情問題にも及びがちで、しだいに『見ざる・言わざる・聞かざる』という
お猿さんの世界になってきているようです。実に悲しく無責任な話ですね・・・。






 



 

村田奈津恵さんと今の風潮

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    10月1日、午前11:30頃、JR横浜線の鴨居ー中山間の踏切で
線路にうずくまっていた74歳の男性を救助すると同時に、自らの
生命を落とした村田奈津恵さんの話は、稀有な勇者と感動しつつも、
何とも割り切れない思いが残りますね~

 きっと彼女は普段から持ち前の良心と正義感とで、こういう事態を
見過ごせず、当然のごとく手を差し伸べてきたのでしょうね・・・。
 そして、彼女の死を悼む人の感動や悲しみは、「目の前の他人に、
差し迫った危険が生じている時、我が身に置き換えると決断できない
が、本当はもっと手助けをしないと・・・」と、多くが観て見ぬふりをする
今の風潮にジレンマを感じている人々の気持を示しているのでは?

 それにしても、踏切内に人や車などが静止している場合、急ブレーキ
が間に合う距離で、電車の停止信号が作動する装置を、もっと精密に
置けないものでしょうか。
 JR北海道のトラブル続きを聞いていても、給料をもらいながら、本気
でない人がいかに多いかを感じませんか? 

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   先日NHKのクローズアップ現代で「土下座」を特集していました。
意図的なのか、商品にクレームをつけて店員に土下座させ、その写真
をSNSで公開した女性が最近逮捕されたり、TBSの「半沢直樹」が
大ヒットし、特に上司を土下座させる場面は、最高視聴率を示したとか。

 土下座は極度なお仕置きであったり、公開処刑にも似ているという
識者もおり、一見「勧善懲悪」と同類に感じるものの、その背景を考える
とあまり良い傾向にはなさそうです。

 日本人特有の、いわば「和をもって尊しとなす」的な延長にある『出る
杭は打たれる
』の極端な仕打ちであったり、些細なことで大げさに騒ぐ。
しかも熟考せずに相乗りする人が結構いますよね。
 それがますます台頭しているのか、だからこそ「多くが観て見ぬふりを
する傍観の風潮
」を強めているのかもしれませんね~

 どうも日本人には『人は皆同じであるべき』の深層心理が支配している。
同じである筈がないし、どこかの国でない限り、強要もできませんよ~
そんなワカランチンを言って、どんな良いことがあるのか不思議ですが、
「個性」なんて言葉で望みながら、まずは親や教師や上司がつぶしていま
せんか? 

 私自身、子どもの頃から日本人離れしているのか、出る杭そのもので
生きてきて、だからこそ「3丁目の夕日」の時代に高い価値を見出し、
今でも人のお節介を焼いています。ま、時折叩こうとする人が寄ってくる
けど、グイグイ杭たる頭を持ち上げるとお相手は諦めてくれますが(笑い)。

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 村田奈津恵さんのように勇気ある行動をとりたい・・と考える人が
この痛ましい事故をきっかけに増えて、現実の行動につなげてくれると、
世の中変わると思うのですが・・・。

 



試写会で「ハンナ・アーレント」

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     ドイツ映画の『ハンナ・アーレント」を日本記者クラブの試写会で観ました。
実話に基づく作品で、ハンナ・アーレント(1906ー1975)はドイツ系ユダヤ人。
ナチスによる迫害を逃れて、アメリカに亡命した哲学者であり、政治思想家
の女性です。

 話はかなり難解でしたが、居眠りをしている暇はなく、場面の移り変わりを
乗り出して見続けました。(約2時間)
 内心では映画はやっぱ織田裕二の「踊る大捜査線」みたいなエンタメが、
お気楽で良いなあ・・なんて思いながらですけどね(笑い)。

 主題は、アルゼンチンのブエノスアイレスで潜伏中に捕まった、ナチの高官
アドルフ・アイヒマンに関わる1961年からの公開裁判がエルサレムであった
際に、ハンナ・アーレントが傍聴に出かけ、それを「ザ・ニューヨーカー」に連載
した記事が波紋を広げて激しい攻撃にあった事実を歴史的な背景や私生活
を加えながら映画化したもの。

 1963年、著作になり 
 『イエルサレムのアイヒマンー悪の陳腐さについての報告ー』

 彼女の記事の何がバッシングされたのか・・・。
ハンナは政治思想家の立場からアイヒマンに対して、果たしてイスラエルに
裁判権があるのか・・とか、裁判の正当性にも疑問を投げかけた上で、
アイヒマンを法廷で観察し、絶対的な悪(極悪人)ではなく、ごく普通の小心者
でとるに足らない役人としてとらえ、「悪の凡庸さ」という表現で伝えました。
 彼女には極悪人でなく、凡庸な小役人が命令とはいえ、あれ程の残虐行為
を指示したことの方が恐ろしい状態なのですが、真意が中々伝わらない。

 ハンナはユダヤ人なのに、アイヒマン寄りか、ナチズム擁護か・・・など
ユダヤ人やイスラエルのシオニストに糾弾を浴び、若いころからの親友も
失い、大学からも教授の地位を追われそうになる・・・。

 それでも 『アイヒマンを許しているわけではない、彼への非難とユダヤ的な
歴史や伝統の継承は別』・・・と反論をし続けました。凄い勇気・・・。
1975年に69歳で逝去していますが、武士道精神に似たものを感じますね~
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私はハンナの足元にも及ばす、凡庸そのものの存在だけど、でもこういう
類のミニトラブルに遭遇したことは何度もあります。
 中々理が伝わらないというか、正論をいうと情緒的に反論されるというか。
ハンナのように最後まで冷静に、しかも譲らない・・・こういう人、今の日本に
は滅多に見当たらないですよね~

 ところで、映画の中には中高年の男女の友情が描かれる場面があり、
人生の楽しみ方に日本みたいな制約の空気がなくて、いいな!と感じました。
人と人の交流にボディタッチがあって、日本人からするとストレートに自分を
表現していますしね。

(一般論としてですが) 日本は妻が亭主以外の男性と延々語り合い、お酒を
飲むなんて行動はあまり許されないように思いますが、本当はもっとオープン
な付き合いがあってもいいのではないかしらね。 
 ただ、若い頃から男女を問わず人脈の輪を広げ、受け身だけでなくまずは
自分がマメに人の役に立とうとすること、連れ合いがいた場合は信頼関係を
築けていることが前提でしょうか・・・。

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映画「アンナ・ハーレント」は
10月26日(土)からロードショーが始まり、岩波ホールです。
TEL 03-3262-5252  特別鑑賞券 1500円。





 

 


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