23日テレビ東京
WBSの画面から
1月20日の午後から日本に衝撃を起している「イスラム国」に
よる邦人人質事件。
日本の総理宛てに動画投稿の形態で72時間以内に身代金を
2億ドル(約240億円)を払わなければ2人を処刑すると予告してきて、
昨日23日の午後2:50に72時間を経過したが、相手は自称「国家」と
はいえ交渉の窓口が確認できないのか、2名の安否も不明のまま
で、私も皆さん同様、ニュースを気にしながら無事を祈っています。
そもそものきっかけは5ケ月前(8月)から湯川さんが拘束され、
後藤さんも10月に拘束されて人質となっていたようだけど、
1月17日、中東を歴訪中の総理大臣がエジプトのカイロで2億ドル
の支援を表明したことが、相手に「ここぞ」の悪しきチャンスを与え
たように思われます・・・。
後藤さんの家族には10月以降、数回に及ぶ10億20億の身代金の
要求があり、外務省に相談していたというのだから、政府は人質を
取られたことや、国に身代金の要求がありうることを認識していた筈。
にも関わらず総理は中東のど真ん中で 『ISIL』と名指しした上で
『「イスラム国」と戦う周辺各国に総額で2億ドル程度支援を約束します』
とか、『ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるために』など、相手を
刺激し、もしや軍事支援をしたように聞こえたのではないでしょうか。
今になって「人道支援のため」と強調しているものの、残念ながら
「イスラム国」に歪曲の理由を与えてしまった点では、脇が甘く、危機
管理ができていない。
(もちろん軍事支援ではなく民生支援の意図には違いないのですが)
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英国のBBC放送は今回の人質事件は、総理の演説や「イスラム国」
と戦う国々への支援を約束したことへの復讐と示唆したもようですが、
第三者からはそう受け止められることが一般的かもしれませんね。
英国に留学中の某大学教授(政治学)が、『首相がこういう配慮の無い
演説をすることに外務省などは何をしているのか。日本の政治機能の
低下を感じる』という趣旨の発言をしていますが、昨今の総理の言動は
国の代表として練り込まれる以前に、個人的な価値観で発信されがち
な現状について日本の国民はもっと重く受け止めた方がいいのでは?
(あまり力を与えると独裁的になって考えもの・・という意味で)
今までの防衛論は中国や北朝鮮からの圧力を前面に出して強調され
た印象だけど、今回の事件は遥か遠くの国でもない、残忍なカルト集団
から降って湧いた宣戦布告みたいなもので、情報も交渉のパイプもない
「国」に対しては対抗手段がなくて、首脳のコメントも空しく響くだけ・・・。
これで更に憲法を変えて、自衛隊を国防軍にとか、集団的自衛権の
行使をと主張すれば、中立的『平和国家』の看板を塗り替えることになり、
アメリカを恨む敵から、はっきりとテロの対象になる危険を私たちは怖れ
ないといけませんよね。
それにしても、本来は独自路線でゆるゆると敵をかわしてきた日本なの
に総理たる人の言動を含め、軽くなってきたことに心配を感じませんか?
逆に、メディアを含めて人の口が重くなり、言うべきことを言えない人が
増えて、しかも国家機能を論ずる以前に相変わらず『個人責任』を言う
人々の意識の軽さも不安要素です・・・。 (理由は以下です)
①国家の役目は国民の生命と財産を守ることであり、基本的人権には
渡航の自由も含まれる。
②国民がすべて「個人責任」で生きるなら政府は不要になる。
③日本はインテリジェンス機能が弱く、後藤さんなどのフリージャーナリスト
が命がけで情報収集を補ってきたことを忘れてはならないと思います。