
6月1日・2日と同窓会・・まあ早い話、私お誘いの飲み会ですけど(笑い)
のため松本に帰り、翌日ヒマラヤ杉に覆われた旧制松本高校の跡地・・・
「県の森」にある「旧制高等学校記念館」を訪れました。
昨年5月18日付でこのblogに書いた「旧制松本高校に見る教育の器」の
続きになりますが・・・。
旧制高校は明治から昭和にかけて(1886-1950)開校されていた男子の
エリート養成校で全国で41校だけ。それも1学年100数十名の少人数でした。
旧制中学4年から受験して、20歳前後の3年間を全寮制で過ごした学校で
すが、在学者数は同世代の1%にも満たず、東京帝国大学など国立大学の
全定員よりも少人数だったので、カント・ヘーゲルを論じながら受験に追われ
ない人格形成を力点にと・・・今では現実離れした世界ですね~
日本の国際競争力が世界の27番目と発表され、10数年後には40数番目
になるだろうと推察される背景に、エリートのレベルダウンが言われている点で、
旧制高校の教育はたくさんのヒントを与えてくれます。

<教師の姿勢として>
「人の能力を引き出すのが教育です。
一方的に教え込むと若い人たちの自立性・独創性をおさえてしまいます」
分かっちゃいるけど、今の日本では小学生の頃から受験を意識して、
高校まで詰め込みの管理教育が主流といった感じですよね・・・。
いつの間にか根本がずれて、しかも国民性として「出る杭は打つ」。
人と違う意見を認めず、エリートも認めない傾向だとしたら、そりゃぁ、
国際競争力が低下するでしょう・・・。

<自主運営の寮生活では>
「俺はこう思う。お前はどう考えるのか?」
そんなぶつかり合いをとうして、自分を振り返り、成長するんだ。

松本城で・・
ストーム(嵐)
という名寮祭
松本高校についていえば、学校の誘致が決まった時に、
市の歳出額の1.5倍にあたる20万円を負担して、1万人参加の
地鎮祭やちょうちん行列を行ったとの記録が。
市民が学校を誇りに思い、大騒ぎも暖かく見守ってきたから寮内
でも市内でもエネルギーを発散させて大物が育ったのでしょう。

<人生を語らぬ教師にもの申す>
人生を語らぬ先生に対して、
「授業やめまっしょ! ヨタ話しまっしょ!」
生徒が教師にもの申すことができたのは、生徒自身が教育の
本質を考えていたということですね。単純に立身出世を願っていた
わけではなく、日本を背負って立つ気概があり貪欲だったのでしょう。
今や大学でも旧制高校のような教育が成り立たないのは、
社会の仕組みや風潮として、余計なことを言わないでリスクを避け、
いわば金太郎飴の生産が一番効率的と考える、パスポート発行所
になっているせいだろうか・・・なんて考えます。
教師以前に親自身がそれを望んでいるからでしょうし。
「良い学校を出れば生涯安心」という戦後の価値観はとおに通用
しなくなっていると思いますが・・・。

旧制高校記念館の
カフェから見た美しい
キャンパスです・・
