
村木厚子さん
(10月23日)
2009年、あの「郵便不正事件」で逮捕・拘留された厚生労働事務次官の
村木厚子さん(58歳)が、冤罪のない社会と、司法改革を訴えるために
『私は負けない』という単行本を書き、10月25日の刊行に先駆けて23日に
記者会見を開きました。
会見場に現れた村木さんは、細身で地味な印象の女性でしたが、話を聴
いていると、風にそよぐ葦みたいな弾力性と芯の強さを感じる人でしたね~

事件後、厚労省の事務次官となった高級官僚が『私は負けない』と・・・
つぶやき型のタイトルで、ある種の告発本を出版することに、当初は多少の
違和感をもったのですが・・、書かざるを得ない現実が横たわり、ご本人の
言葉を引用すると、「得難い経験だが、二度と味わいたくない経験を知らせ
たい」との思いが、沸々と湧き上がっているのだろうと感じましたね~
元々は2004年に「凛の会」という偽の障害者団体が、定期刊行物の郵便
料金が格安になる低料第三種郵便の制度を悪用し、(利ざやを稼いだとして)
元会長などが逮捕された事件が発端ですが、その団体に厚生労働省が
組織的な関与をして正当な手続きを踏まない証明書を出したとの噂が流れ
て・・・やがて村木さんは「虚偽公文書作成・同行使」の容疑で逮捕され、
大阪地検に起訴されています。
2009年6月に逮捕され、164日の拘留を経て、11月に保釈。
2010年9月に無罪が確定し、同月に職場復帰して2013年7月から事務次官。
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≪村木さんは記者会見の中でこんなことを強調して話されました≫
①検察にはストーリーができていて、ない話にも証拠がつくられる。
2名の担当検事は逮捕直後の最初から
『私の仕事はあなたの供述を変えることです。あなたは起訴されるでしょうね』
『あなたの記憶は曖昧だから、私に任せなさい』
②その結果、調書はいかようにも作れることに。
実際に証明書を単独で作成した上村勉事務官とは話したこともなかったが、
調書の中では彼との会話が生き生きとして書かれていた。
③検察は、組織で動き、自分たちに有利な方向へとことを進めていった。
途中で(証拠の改ざんが明らかになるなど)引き返すチャンスが何度も
あったのに、求刑まで突き進んでいった。
④マスコミを含めて、検察や警察に対する暗黙の信頼感が横たわっており、
「もしかしたら無罪」が社会全般に弱くなっているのではないか。
被告人にも闘える仕組みが必要だ。
⑤マスコミについて、多数に追い回されて恐怖やパニックに陥った。
推定無罪の筈なのに、偏りがある。公平な報道を心がけてほしい。
「報道の自由」は尊重したいが、行き過ぎると規制がかかることを避ける
ために、自らルールを作って改善してくれることを期待する。
⑥検察とマスコミは「悪い奴をやっつける」⇒「正義の味方」を旗印にすること
が似ているのだが、検察は裁判に勝ちたいと願い、マスコミは早くネタを取
りたい点でドライブがかかっていることから問題が生じる。
⑦現在『法制審議会』の委員として、自分の経験をもとに関わっているが、
司法改革に必要な3つの課題は
「取り調べの可視化」、「証拠開示」、「身柄拘束」(それ自体が罰)の検討。
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⇒最後に記者の質問に答えて、
検察と厚労省など官庁には公務員としての共通項がある。
何かが起きた時に本能的に隠したくなるし、今までの習慣を変えられない。
情報公開をし、透明性を確保するために、悪いことを隠せない仕組みを
作れば、正しい行動をとれて、その方がみなラクになれると思う。
