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 近年、日本の風景・・・といえば、どこの駅に降りて、どこの街に行こうが 、
全国共通の似た看板がオンパレードよろしく並んでいて、灰色のシャッター街
が廃墟のように続く。そもそも小さな町には人影がなく、犬も猫もいない・・・。 

  私が招聘研究員として 所属する早稲田大学公共政策研究所で、
11月23日(土)に5時間半に及ぶ長丁場のシンポジウムを開催しました。

『風景とローカル・ガバナンスを問う』
-いま風景の劣化を食い止める主体は誰なのか・・・


 同僚の研究員がこのテーマで共同研究をして、修士論文に加えて博士論文を
パスしたので、彼が企画をし、大学の内外から一流の研究者を講師に頼んだの
ですが、学者が集うアカデミックなシンポジウムでは参加者100人で大成功と言
われる中、全国から150名を超える専門家が集まり、早くも次回の話が出る程。
(国土交通省や自治体、大学や民間の研究機関、NPOや公益団体、建築家、
街づくりチーム、シンクタンク、大学や院の学生などが参加しました)
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      早稲田大学
      11号館501で











 基調講演をお願いした中村良夫・東京工大名誉教授は、東大、東工大、京大
で、景観工学の研究と教育に携わってきた日本では超一級の学者です。
学者の話は難しいかなと思いきや、たくさんの写真や図表を使いながら豊富な
事例で実に分かりやすく、面白く、会場を惹きつけていましたよ~

 もう一人、鳥越晧之・早大教授(日本社会学会会長)の話と結び付けると
風景の劣化は人間の劣化」という本質論が浮かび上がってきます。

 最初は「エッ!」と感じますが、
生きることは生かすこと。風景は人間の洋服と同じ」という考え方に立てば
ナルホド!となりますよね~
 元々、人間は風土的な存在で、人間が山を見ているのではなく、山が人間を
見つめて、そこに人間が存在するということは、「自分自身が受け身で見られて
いるのも風景」となりますか。

 だから、「人が楽しんでいる様子が目の前に存在することが風景」であるという
前提に立てば、子どもが広場や公園で遊ぶ姿が消えていることは、将来を見据
えるとトンデモナイ事態なんですよね・・・。(彼らの子どもはどこにいくのか?)

 羽貝正美・東京経済大教授は、人間が経済的に豊かになりすぎた結果、
face to face の関係が無くなり、子どもが外で遊ばなくなった。
ゴミの収集も集団から戸別になり、地域や住民のエゴに行政が譲ったことになる。
 私も都心の某区で20年以上「ゴミ隊長」として近隣を当番制でまとめてきましたが、
高齢化もあり、ついに集団から戸別収集に切り替えました・・・。

 だから、「住民が行政を育てる、成長させる。地域に行政が参加する」方向に
発想を転換し、当時者意識をもった人を一人でも増やすことが重要ということに
なるでしょうね。

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終盤は6名の学者と
ファシリテーター(左)が
パネルディスカッション









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私の役目は「総合司会」でした。

 何せ、日本でも指折りの学者方を招いて、5時間半に及ぶシンポジウム
の仕切り役。
諸先生はいくらでもお話が尽きないのですから、おひとりづつ6人のパネ

リスト報告について、1人10分の時間延長を大らかに受け入れたら、60分
の延長もあり得て、時間通りには到底終わりませんからね~
(参加者は全国から駆け付けてくれて、帰りの予定もあるでしょうし、シンポ
 終了後には更に懇親会もあったのです・・・)

 ということで、司会者は表舞台にいる分目立ち、派手やかに映りますが、
仕事の実態は裏方的タイムキーパーを兼ねておりました。
で、「あと、5分で終了してください!」なんてお偉い先生にメモを飛ばし、
終了時間をピタリ修めた点では『神業』と褒めていただいたんですよ~(笑い)

 実は、シンポの企画段階から司会を指名されていたのですが、内心では
「こりゃ大変、疲れそう」と感じたので、「うちの院修了生には若くて綺麗な
マスコミの女性がいるのだから、そういう人にお願いしたらいかがですか」と
提案したのですが、「若くて綺麗でも内容の分からない人はやめましょう」と
ボスの教授に逃げられまして・・・(苦笑)。

 確かに、冷静冷酷に諸先生の発言を時間的にコントロールする役目は、
大奥をしきるに似ていて、私のようなタイプが適役だったかなぁ・・・と感じ、
たまには人さまの役に立てるものですね~(笑い)。