2011年の8月20日、1年前の8月24日に当時3歳の里子を虐待し死なせた容疑で、知人の女性(40代、声優)が逮捕され、その後起訴されたというこの夏メディアの話題になった事件・・・。
 彼女とは5,6年前からの知り合いで、里子に来て間もない2歳のみゆきちゃんとも2回ほど会っており、里親にようやく慣れたのか、可愛いい笑顔でチョコチョコと歩いていたのですが・・・。
 逮捕の3ヶ月前に、警視庁捜査1課と杉並警察の刑事2名が私にも聞き込みに来ました。彼らが知りたい最大の疑問は「仕事を持ち、受験を控えた実子が2名いて、更に諸活動に追われる多忙な日々なのに、なぜ里親を希望したと思うか?」でした。この核心部分について刑事には私見を伝えましたが、これはノーコメントにさせてください。

 刑事が私の自宅に来た折は、ネパールから帰国して間もない頃でした。ネパールでは、小学生にもならない幼女を含めて多数の少女たちが拉致されたり、外国に売られているとの話を確かな筋から説明を受け、ガバナンス(統治機構)が未成熟な政府において、国民の人権を守るために警察がさして動かないことに衝撃を受けたものです。
 捜査1課の刑事が私に語りました。「わずか3歳で不遇な人生を終えたみゆきちゃんの無念を晴らしたいのです」と。日本の警察がたった1人の幼女の人権を守るために専任の捜査員を置いて、真実を探ろうとしていることにある種の感動を覚えました。

 一方で、警察の聞き込みからは逃れたい、関わりたくないと思う人々が多く存在していることも実感しました。本人が自白をしない以上密室で何が起きたのか、真実は藪の中といえる側面がありますが、解剖や検視の所見、数百人にのぼるという証言もある中、最終的に彼女がシロかクロかは裁判で決まることだから、こちらも予断を持たずして自分なりの真実を語るのが、法治国家に生きる市民の役割だと思いますが。

 何らかの事情を知りながらも口をつぐむ人が多ければ、場合により権力機構は話を作り上げることも有りうるのではないか。いつか来た道の経験を考えると、いかにも日本人的に「お口にチャック」は不合理で、証言が彼女の無実を証明するかもしれないし、日本の司法を守り育てるためにもダンマリはある種の「お上依存」で、良い傾向とは思えませんね。 何はともあれ、みゆきちゃんのご冥福をお祈りします・・・。