熟女はご意見番

野次馬見聞

懐中電灯で学ぶネパールの少女

nepal

             (2011.5.10  訪問したさくら寮で)


 ちょうど4年前にネパールのカトマンズに行きました。
その時のレポートを下記に再現します。
2015年4月25日の大震災に対して、なぜネパールなの? と無念の中、
あの際にお世話になったガイドさんや、出会った人たちの無事を祈りつつ。
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カトマンズに住む旧知の日本人に声をかけていただき、2011年 5月の1週間、熟女4人を誘ってネパールを旅行してきました。各地での鮮明な映像が今も脳裏に焼きついています。

 これまでにもアラスカ(最北端のバロー)、情熱みなぎるブラジルとアルゼンチン、常に一触即発のイスラエルとパレスチナ、遠藤周作の「深い河」が描くインドのベナレス、闇を感じた北朝鮮(NGOで子供の援助に)、北京も上海も住民全員が人民服と人民帽だった30年前の中国、延々45℃の砂漠を行ったシルクロードなど、強烈な印象を受けた旅先は数多くありますが、今回はこれらにも増して生涯忘れえぬというより「この国のことは決して忘れてはならない」と自らを戒めています・・・。

<ネパールは、おおよそこんな国> ↓

 人口3000万人、紀元前6世紀に釈迦(仏陀)がルンビニで生誕したとされ、インド文化圏の中にある。
国土は最高地点にあり、エベレストを含む8000メートル級ヒマラヤ連邦を仰ぐ。
2001年のネパール王族殺害事件を経て、2008年に240年続いた王制を廃止し、ネパール連邦民主共和国に。
大統領や首相を選び暫定政府を置いているが、憲法はなく政治の混乱は今も続いている。
宗教的にはヒンドゥ教徒が80%、農業国であるがGDPは1人@$1200で、月平均1万円前後で暮らす。
失業率42%、貧困線以下が31%を占める。人口全体の平均年齢は20歳で65歳以上は3.8%,(生誕時)平均寿命61歳、15歳以上の識字率は全体が約50%で、このうち女性は35%に過ぎない。
電力が弱く毎日14時間は停電する。
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 貧富の差が大きいというよりも、あまりに貧しい人々の群れが多く、シャワーが降り注いで多雨なのに水道施設が整わず沐浴や洗濯は川でが多いし、街の至る所でゴミの山が散乱している・・・。  
 昨今の日本にいて、国や地方政府のガバナンスのあり様を論じることも多々ありますが、そんなロジックも吹っ飛んでしまいそうで、私はネパールに何ができるのかを考えると、3,11の東日本大震災と同様、自分の無力を心底感じざるを得ませんでした・・・。

 特にある所で見せていただいたビデオー10歳にもならない少女たちが売られていく現実には、21世紀になってもまだこんなことがという怒りと絶望感を持ったものです。
 それでも、未来への希望を抱かせてくれたのは少年少女の笑顔でした。まるで太陽に輝くヒマラヤ連峰であり、きらめく星座みたいに・・・。

 カトマンズの近郊ポカラにある「さくら寮」は、日本人のNPO法人(※)が基金を作り寄附を集めて、特に差別を受けがちな過疎地の少女に基礎教育をつけるための女子教員を育成している20名足らずの私塾です。
 日本の明治時代、おしんを思い起こすような貧しい環境に置かれていた地方から、片道2日も3日もかけてカトマンズに出てきて、ネパールの将来に向けて良い教師になりたいと勉学をしているのですが、毎日14時間も停電する中で自炊し、夜は懐中電灯を照らしながら読書をする・・・。
 ひるがえって普段の日本では、停電は勿論、飢えることもなく、恵まれて最高学府までいく若者が多い中、一体誰のために何のために彼らの学びを導いていけばいいのでしょうか。

(※)認定特定非営利活動法人「日本ネパール女性教育協会」
   事務局:東京都中央区八丁堀3-24-1-1001
   E-mail iwatani@m7.gyao.ne.jp     http://www.jnfea.net

友人が県で初の女性市長に

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    4月19日、10年来の学友(院の同級生)が、長野県のある市長に
当選しました。県では初めての女性市長の誕生で、注目を集めている
ようです。

 県議会議員を3期12年(1人区で)務めたから元々知名度は高いので、
相手が怖気づいたのか、対抗馬が出ず、無投票当選になりました。

 19日が告示で朝出陣式をし、昼間は街頭演説に立ち、夕方選対本部
に戻ってきました。で、午後5時まで他に出馬がないと当選が決まるという
瞬間を後援会の関係者皆が待って、「ばんざ~い!」。

 今年の統一地方選での市長選挙は、30%が無投票とのこと。
資金も時間も楽ちんですが、政策の議論がなく、地元市民は選挙という
行動に出ないし、そもそもどの位の支持を得たかが分からない点で、
無投票は好ましくないですよね~

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  前任の市長は4期16年。その期間内に、随分と街が廃れました。
地方はどこも似たり寄ったりかもしれないですが、駅前のデパートが6年
前にクローズしたままで、駅を降りた途端、廃墟みたいな印象です。
 
 なぜ、ここまで放置してきたのか・・・。
道路の課題を含めて様々な課題山積で、新人に期待が寄せられている
ようですが、街の様子を見て、一番気になるのは、さぞや市の職員に怠け
癖がついているのだろうなぁということです。

 誰か、モチベーションの高いリーダー(本来は市長)がいれば、
人の熱意は必ず課題の克服をする筈と思うのですが、これはアカンです。
人は命令だけでは動かないので、職員にどうやる気を起こすのか。
 議員と違い、首長の責任は重くて、シンドそうですね・・・。

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    ところで、この写真の人たちは、メディアの記者やカメラマンです。
彼らの先で(前方で)候補者が演説をしたのですが、
後方に並ぶ後援会の人や私のような駆けつけ応援団は、彼らの
背中でさえぎられて、殆ど本人の姿が見えません。

 カメラは後方でも望遠を使えばいいのだし、脇でも取材ができるのに、
周辺に配慮の無い点で、何という行儀の悪さなんでしょうか。

 さすがに私が所属する東京の日本記者クラブでは、こういう態度は
許されません。TVカメラは最後尾で、スチールカメラは前に座り込む。

でも一般的に、メディアはかくも横暴らしいです。「喝!」






 

屋形船で眺める隅田川の桜

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自宅の窓から
(うちの庭でなく隣接する
女子校の庭ですよ~笑)




 今年もまた桜の季節になりましたね~ あっという間に満開。
1年の始まりは正月でしょうが、新学期や新年度という意味では4月を
挟む桜の季節がくると、気持のスタート感が強まりませんか?

 3月31日に知り合いが招待してくれて、浜松町から屋形船に乗りました。
東京湾のクルーズはパーティなどで何度も経験しましたが、純和風の
宴会船は初めてでした。

 世界貿易センターや、東京タワー、東京プリンスに向かう浜松町の北口
はお馴染みですが、「南口」は別の世界でした。船宿で待ち合わせ、狭い
路地を数十メートル歩くと川に船が停まっており、そこから隅田川へ。

 佃島、築地を経て浅草へ。川沿いは両岸共に桜が延々続いて、
最高のお花見を楽しめました。
群れる花見客を遠方から観ている面白さがありましたね~

 勿論、会食付きなので、お刺身やてんぷらやお酒も出てきます。
昼間から何というお贅沢・・・。 招待者と同乗の仲間に感謝ですね~

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下船後
船のお仲間で
記念写真を。


















数十年ぶりの「山谷」にて・・

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山谷から遠く覗き
見るスカイツリー









 3月14日、数十年ぶりに「山谷」に出かけてきました。
ここは、東京都荒川区南千住と台東区にまたがる日雇い労働者の街で、
長い間、「ドヤ街」とか「スラム」と呼ばれてきました。

 元々は江戸時代から明治の初期まで、小塚原刑場があって遺体の処理
のため、いわゆる「部落民」が集められ、吉原の遊郭が近くにあるなど、
アウトローな場所として木賃宿も集結していたのでしょう。

 戦争が終わってからも、昭和38年の段階で簡易旅館が222軒あり、
路上生活者が15000人。不就学児童、売血問題とともに、暴動も起きて、
平成に入ってからも19年現在で生活保護世帯が66.7%あり、今でも
貧困、高齢化、傷害・病気、孤立、孤独死・自殺など社会問題が山積して
いるような街ですね・・・。

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簡易旅館に入らせて
もらいました(非公開)












 今回を機会に改めて『貧困』とは何かを考えてみました。
事前に若者と「貧困」を議論しましたが、経済的困窮だけではなく、
精神的困窮も包含されるのでは・・・と彼らも発言していました。

 私なりに考えた『貧困』の定義ですが・・・
『経済的 身体的 環境的 文化的条件において、自力で衣食住の
生活要件を満たしえず、社会の中での役割分担を保てない状態に
あること』

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 ちなみに、OECDの基準による『貧困』は、
1世帯の年収が200万円以下、単身で120万円以下とされています。
日本には年間所得112万円以下(月額9.3万円)の生活者が16%も
存在しており、総数では2000万人にも及んでいるのですよね・・・。
(特に子どもの貧困率は2012年で16.3%、先進国35ケ国中、貧困割合
 が高い方から4番目です。子どもだけは・・・何とかしたいですね)

 私は都庁の職員だった20代に、行き倒れや急病人への救急医療
の仕組みを作るため山谷に行き、現地調査や会合に出ていました。
その頃、社会福祉のインフラや支援は今より低レベルで、路上生活者
が何倍も多く、仲間内の喧嘩が日常的で凄味や怖さがありましたし、
毎朝日雇いの仕事を求めて、たくさんの人が列をつくっていた鮮明な
光景を覚えています・・・。
 それに較べると、今は行政の救援やボランティアが入り、居住者の
多くが高齢化したせいか、街全体が静かで、それほど特殊な雰囲気は
ありませんでした。日本の至る所に「山谷」ぽい場所が増えているよう
な気がしましたね・・・。

 街のあちこちで、路上に座り、お酒を飲んでいる光景を見ましたが、
桜の季節の花見を思えば、それほどの違和感はありません。
 あとで、一緒に行った人と、私たちも同じように車座で路上宴会をして
みれば、別の景色が見えたかもしれないねと話しました。

 同時にここで終末を迎える人に対して、必要以上の同情をすることは
避けたいと思います。長らく借金取りに追われて来たり、家庭内のもめ
ごとで平穏を奪われてきた人には、もしや静かに余生を過ごせる幸せ
な場所かもしれませんから・・・。







ニュースキャスターを訪問

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 2月19日(木)に1年前からの念願が実現して、赤坂のテレビ局に
若い塾生とPTAを含め13名で、ある著名なニュースキャスターを訪問
しました。

講座のテーマは『報道の現場と筑紫哲也のメッセージ』です。

 「日本の巨星」といわれ、彼ほどのジャーナリストは2度と出現しない
とされる筑紫哲也さんを師匠として報道を続けているジャーナリストは
多いと思いますが、中で最も濃いDNAを持つとの高い評価のもと、
お願いの手紙を書いて、この間、メールや電話、葉書の交換などで準備
を続けてきましたが、お会いしたのは初めてなんですよ~
 
 彼は正月以降は中東に飛んで、レバノンからメールをいただき、更に
「イスラム国」人質事件が発生以降には、ヨルダンなどへの取材が多く
てテレビの中継から目を離せず、まるで追っかけでした(苦笑)。

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  (私は)おこがましくも筑紫さんを大師匠にして、松明の小さな灯り
を受け継いできました。
 特に最近は『今のこの事態を、もし筑紫さんが生きていらしたら
どんなメッセージを発信するのだろうか・・・』
といつも考えてきたので、
今回お訪ねしたキャスターの視点や価値観、感性が不肖私と類似し
ていることに内心で驚きながらも、とても感動しました。

 筑紫さんは2008年11月に亡くなったので、早くも6年以上経過して
いますが、物腰も語り口も、その昔の筑紫さんにお会いできたような・・・
ほっとする懐かしさを感じて、嬉しいものですね・・・。

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  スタジオ見学のあと、セミナー室で番組のVTRを見せていただきながら
話を伺ったのですが、久しぶりで本質に迫るような取材秘話と分析で、
近くでの会食にもご参加いただいて、ざっくばらんなお話も最高でした。

(オフレコ部分や微妙な問題は避けますが) 印象に残ったことは、

①イスラム国の人質事件では、政府は大義を守るために犠牲は止む
 無しと考えたのではないか。(本来は救出できたはず)
②検証がメディアの役割なのに、全体が弱体化している。
③今の社会は戦前に近い状況になってきた。
④最近は大人も若者も『今・金・自分』だけで生きている。

  常日頃から私も 微音ながら日々軍靴の足音が近づいていると感じ、
 政治家を筆頭に、損得で動く人が社会の大多数を占めて、この空気感
 の延長に何がくるかなんて考える方が浮きますよね。(私も浮輪・苦笑)
 だから『本当にそうなんだよね~』と心強い同志に会えた思いです・・・。

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  若者から次々手が上がり、議論が果てしなく続きました。

  小さな塾ですがめったにない機会に恵まれている塾生たちは、
 『今・金・自分』と、目先の利益に追われない道を選んでほしいし、
 歴史を学んで考察し、敗戦を背中で背負いながら生きてきた先輩たちが・・
 (最近は天皇陛下までもがギリギリの言葉で発言されている) なぜ
 「戦前に近づいてきた」とか 「軍靴の足音が」と語るかを熟考してほしい。
 
  歴史上、知らず知らず巧妙に誘導され、巻き込まれていくのが戦争で、
 危ないと警告する人ではなく、平和ボケしてぼんやりしている若者が戦いの
 当事者になることを想像することもデモクラシーの国に生きる権利と義務
 なのですが、若者の99%はOUT(考えない)が現実ではと思います・・・。

 キャスターも仰せのように本来は若者の責任ではなく、大人が発言し行動
することが前提なので、風向きの末の負担と被害はやがて子や孫にいくこと
を頭に入れて、時には覚悟をもってブレーキ役を果たしたいものですよね。


 



  
  



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